マルセル北村です。
最強のグラボ「RTX4090」と、ゲーミング最強のCPU「Ryzen 7 7800X3D」を組み合わせた最強の本格水冷ゲーミングPCを自作したので記事にしました。
再三申し上げていますが、性能面でゲーマーが本格水冷PCを組む意味はありません。
ゲーミングPCに見た目やロマンを追求する人だけが組めば良いと思います。
なお、私は2度目の本格水冷PC自作ですが、実は1回目の時点で「二度とやらねえ」と思っていました。
そのことをすっかり忘れて今回組んだのですが、やはり「二度とやらねえ」と思うくらい面倒でした。
まずは完成画像
配管がガッタガタだったりするのはご愛嬌です。
私は簡単なプラモデルすら組めないくらい不器用な人間です。
本格水冷ゲーミングPCのパーツ構成
今回の本格水冷PCに使用した、空冷PCでも必要になる基本パーツの構成は以下の表の通りです。
種類 | パーツ | 価格 |
CPU | Ryzen 7 7800X3D | 約7万円 |
グラフィックボード | RTX4090(Gainward Phantom GS) | 約27万円 |
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR X670E HERO | 約12万円 |
メモリ | G.Skill DDR5-5600 24GB×2 | 約2万3千円 |
CPUクーラー | EKWB EK-Quantum Velocity2 D-RGB – AM5 Nickel + Plexi | 約3万円 |
ストレージ1 | ADATA XPG SX8200 Pro 2TB | 流用(約2万円) |
ストレージ2 | HIKSEMI FUTURE 2TB | 約1万4千円 |
ストレージ3 | Samsung 980 PRO PCIe 4.0 SSD 2TB | 約1万5千円 |
ストレージ4 | SK hynix Platinum P41 2TB | 約1万7千円 |
ケースファン | Corsairのものを6個と、NZXTのものを1つ | 流用 |
電源 | FSP Hydro G PRO 1000W | 流用(約2万円) |
CPUグリス | シミオシ OC Master SMZ-01R | 流用 |
PCケース | NZXT H700 Nuka-Cola | 流用 |
その他 | グラボ縦置きブラケット、ライザーケーブル | 流用(約2万円) |
合計 | 約59万円 |
今回の本格水冷PCに使用した、本格水冷のときのみ使用するパーツは以下の表の通りです。
種類 | パーツ | 価格 |
GPU水枕(Water Block) | Alphacool Core Geforce RTX 4090 GameRock + Phantom with Backplate | 約3万円 |
ラジエーター1 | Bykski B-RD360-TN | 約7千円 |
ラジエーター2 | Corsair XR5 360mm ラジエーター | 約1万円 |
リザーバー・ポンプ | Bykski RGV-NZXT-H700I DISTRO PLATE | 約2万円 |
水温・流量計 | Bykski B-TFC-CS-X | 約4千円 |
フィルター | Bitspower Malt Black Shining In-Line Filter | 約3千円 |
フィッティング類 | EKWB、Bykski、Alphacool、Barrowsのもの多数。 | 流用(多分合計3万円くらい) |
チューブ | Barrowsのハードチューブ(PETG) | 約3千円 |
クーラント | EKWB EK-CryoFuel Solid Azure Blue | 約4千円 |
合計 | 約10万円 |
わかっているだけで総額「約70万円」の化け物PCです。
私は何故こんなことをしているんでしょう……
各パーツ選定の理由など
各パーツの選定理由を簡単に紹介します。
CPU
今回自作した本格水冷ゲーミングPCは、自分ひとりの世界でゲームをするためだけのメインPCです。
例えばSkyrimSE、Fallout4、将来的にはStarfieldやcities skylines2などの重量級ソロゲームの4K解像度でのプレイを目的としています。
マルチゲーはもう一台のPCでプレイします。
そのため、CPUはゲーミングに特化した現行最強CPUである「Ryzen 7 7800X3D」にしました。
「Ryzen 7 7800X3D」が最強である理由は、以下の記事をご覧ください。
グラフィックボード
今回のコンセプトは「最強本格水冷ゲーミングPC」。
当然、現行最強のグラボである「RTX4090」を選択しました。
RTX4090もかなり値段が落ちました。
次世代のRTX5000番代は当分あとという話もあるので、買い時……かもしれません。
マザーボード
私はマザーボードの性能を重視していません。
オーバークロッカーでもなければ、M.2スロットの多いミドル帯のマザーボードでなんの問題もないと思っています。
じゃあなんでこんな高いマザーボードにしたの……?
かっこよかったからです。
ゲーミングPCにおいては見た目も重要な要素です。
ましてやゲーマーが本格水冷PCを組む理由は「見た目」以外ありません。
それなら、私が2番目にかっこいいと思ったマザボである「X670E HERO」にしたという次第です。
実は1番かっこいいと思ったのは「X670E EXTREME」だったのですが、プレートリザーバーと干渉しそうだったので断念しました。
メモリ
ゲーマーにとって、メモリは32GBあればそれで十分です。
しかし今回は敢えて48GBにしてみました。
特に意味はありません。気分の問題です。あと見栄です。
CPUクーラー
CPUクーラーについては、今回は個人的に憧れていたEKWBのCPU水枕を選択しました。
高かったですがかっこいいです。これぞ本格水冷という感じです。
EKWBは楽天に日本公式店があります(Amazonにも出品しているようですが)。
買い物マラソンなどのタイミングでポイント10倍になっていることが多いので、購入するならその時を狙うといいでしょう。
ストレージ
SkyrimなどのMODゲーは容量を非常に食います。
そのため、MODゲーもそれ以外のゲームもいくらでもプレイする私には大量のSSDが必要でした。
今回は「色々試してみよう」の精神の元、評判がいいのに安売りされていたSSDを3枚新たに購入して、合計8TBのM.2 SSDという豪華仕様のストレージにしました。
本格水冷PCの場合、配管の都合上m.2 SSDを後から増設するのが面倒という理由もあります。
SSDが非常に安く売っていた時期だったので、お得に入手できました。
SSDは何枚あっても困りません。
逆にHDDはもはや一つも必要ありません。
電源
信頼度と安定性の高さの割に価格と知名度が低い「FSP」の電源です。
今回はRTX4090を搭載しているため1000W電源を採用です。
電源に過剰に拘る必要はありません。
昔と違ってヤバい電源は市場から駆逐されています。
聞いたことのあるメーカーのBRONZE認証以上の電源なら問題ありません。
CPUグリス
CPUグリスについては、もはや「シミオシ OC Master SMZ-01R」しか使っていません。
信頼できる性能で価格が安いのももちろんですが、その上塗りやすいというのが非常に大きいです。
PCケース
NZXTのFalloutコラボケース「H700 Nuka-Cola」です。
私はこのケースのために本格水冷を組んでいると言えます。
非常に気に入っているケースです(見た目が)。
もっとも、H700はミドルタワーケースなので、内部スペースが小さく組むのがけっこう大変でした。
本格水冷をこれから組もうという方はフルタワーケースで組んだほうが楽に組めるのは間違いないと思います。
その他
今回のPCケース「NZXT H700」はグラボの縦置きに対応していません。
しかし私は本格水冷なら水が流れる面を正面に向けたいです。
そこで、無理やりグラボを縦置き可能にするマウンタ「Cooler Master Vertical Graphics Card Holder Kit」を使用しています。
私が買ったときはV2だったと思うのですが、今はV3になっているようです。
V3がどうなのかわかりませんが、私が買ったものは付属のライザーケーブルがPCIe4.0に対応していなかったため、別途PCIe4.0のライザーケーブルも購入しました。
当初はライザーケーブルがPCIe4.0に対応していないことに気づかず、画面が映らなくて焦りました。
本格水冷パーツについて
通常の空冷PCを組んでいると必要ありませんが、本格水冷PCを組む場合はそれ専用のパーツが必要になります。
本格水冷パーツは非常に高額ですが、実は中国メーカーのコスパがずば抜けています。
中国メーカーといっても、名の通ってないメーカーではなく「Bykski」か「Barrow」の2大有名メーカーのことを指しています。
この2社のパーツについては、国内の本格水冷パーツを扱うショップでも販売されています。それくらい信頼性が高いということです。
ただ、国内で購入すると基本的に高く付きます。そのため私は急ぎのとき以外は「AliExpress」で個人輸入しています。送料もかからないことが多いので。
結局「Bykski」や「Barrow」は中国メーカーなので、日本の輸入店で買おうが自分で中国から買おうが手に入るものは同じです。
ラジエーター
ラジエーターで重要なのは厚さです。厚いほうが冷却能力は高いですが、ケースのスペースと相談しなければなりません。
今回は標準的な厚さのものをチョイスしました。正直あまりこだわりはありません。
リザーバー・ポンプ
今回はプレートタイプのリザーバーを使ってみたいという希望があったので、H700に適合するプレートリザーバーを探しました。
その結果、中国の優良メーカーBykskiとBarrowから発売されていたことがわかったので、安かったBykskiにしました。
どちらでもいいと思います。もっとも、今からH700でゲーミングPCを組む人もなかなか居ないと思いますが……
水温・流量計
私に水温計、流量計が必要かと言うと完全に「ノー」なのですが、単純におしゃれのために導入しました。
購入したのはBykskiの「B-TFC-CS-X」です。AliExpressで購入しました。
シビアに水温や流量を管理する予定は全くありません。
でもインジケーターってかっこいいですよね。
フィルター
本格水冷PCは、空冷PC以上に定期的なメンテナンスが必要です。
その手間が少しでも減るといいなと思い、異物をせき止めるためのフィルターを採用しています。
個人的には、まあ気休め程度の効果かなと思っていますが……
チューブ
本格水冷のチューブ(管)は、大きくわけて「ソフトチューブ」(ホースのようなもの)と「ハードチューブ」(パイプのようなもの)の2種類があります。
好みの問題ですが、私は本格水冷を組むならハードチューブしか選びません。
ソフトチューブよりハードチューブのほうがかっこいいと思うからです。
もっとも、構築難易度は圧倒的にハードチューブのほうが高いです。
ハードチューブの素材にも色々なものがあります。
前回組んだときはアクリル製のハードチューブを選択したのですが、チューブのカットが舌を噛み切りたくなるくらい面倒だったので今回はPETGにしました。
アクリルチューブは糸ノコギリで地道に切断しなければなりませんでした。PETGはパイプカッターで簡単にカットできます。
正直、PETGに変えたおかげで本格水冷の面倒さが10分の1くらいになりました。
ハードチューブの本格水冷に挑戦する方はPETGにすることを強く強くおすすめします。
フィッティング
フィッティングはチューブ同士をつなぐ際に使用するパーツで、本格水冷PCを組むなら確実に、大量に必要になるパーツです。
本格水冷で最も納得いかないのがフィッティングです。何が納得いかないかというと価格です。
物によるのですが、便利なフィッティングは小さくてもかなり高価です。
コスパのいい中国メーカー「Barrow」の以下のフィッティングですが、3000円近くします。これ1つで、です。
まあ必要な場合は仕方ないと言えば仕方ないのですが……やはり本格水冷関係のパーツは高いと感じますね。
クーラント
クーラントは冷却液のことです。このクーラントに熱を移動させることで、CPUやGPUの冷却を行っています。
前回は透明タイプのクーラントを使いましたが、今回は不透明な青色のクーラント「EK-CryoFuel Solid Azure Blue」を選択。
不透明なクーラントは一般的におすすめされていないのですが、どうしても「ヌカ・コーラ クアンタム」みたいにしたかったのでパステルブルーのクーラントを選択しました。
不透明なクーラントはすぐ色が落ちるとか色々聞くので、身をもって実験したいと思います。
組立の流れ
グラボの分解と水冷化
まずは空冷モデルのRTX4090を分解して、水枕を取り付けなければなりません。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
配管の検討
グラボ、CPU、ラジエーター、リザーバーを「どうやって繋げようかなー」と考えます。
でも私の場合は思ったとおりにいかないことが多いので、結局最終的には出たとこ勝負になっています。
そんなんでも本格水冷PCを組むことはできます。
ハードチューブのカットと曲げ加工
配管が決まったら、それに合わせてハードチューブをカットしたり曲げたりします。
カットにはパイプカッターが、曲げるにはヒートガンとその他色々なツールが必要です。
パイプカッターとヒートガン以外は以下のセットで揃います。
もっとも、これはアクリルチューブ向けのセットなので、PETGには不要なリーマーと糸鋸セットも入ってます。必要なのはシリコンチューブとマンドレルのみです。
ヒートガンとパイプカッターは汎用品を使います。安い物で十分でした。
組み付け
実際にチューブをフィッティングに挿して組んでいきます。
これが本当に面倒で大変で、不器用な私は指が傷だらけになります。
しかもちゃんと測ってカットしているのに、実際やってみると入らなかったりする箇所もあり、その場合は微調整を繰り返すことになります。
面倒くさがりで不器用な私には発狂モノの作業ですが、本格水冷PCを完成させるためにはやるしかありません。
「やめたい……やめたい……」と呟きながら作業をしていました。
リークテスト
組み付けが終わったらリークテストを行います。
本格水冷PCでは、配管が終わったあとに「ちゃんと組み立てられているか」を確認するためにリークテスト(水漏れテスト)を行う必要があります。
当然ですが、リークテストを行わないでいきなりパソコンを動かすと水漏れしてパソコンがぶっ壊れる可能性があります。
私はEKWBのリークテスターを持っています。
これはクーラントの代わりに空気を入れ、空気が抜けているかどうかで水漏れするかどうかの確認ができる大変便利なツールです。
これを使ってみると、どこかで空気が抜けているのがわかりました。
つまり、このまま注水したら水漏れしていたということです。危ないところでした。
水漏れ箇所があることがわかったのはいいのですが、どれだけ確かめても水漏れ箇所がどこなのかわかりません。
結局1時間くらい確かめてもわからなかったので……
もう注水して水漏れ箇所を確認するしかない!
……結局、水漏れ覚悟でポンプを動かして水漏れ箇所を確認しました。
全くノーマークだったリザーバー下部の止水キャップから水が漏れていました。
完成
数多の苦労を乗り越えて、クーラントが配管を通っていく瞬間は感動モノです。
なかなか作業時間が取れなかったというのもあるのですが、全部で一週間くらいかかりました。
空冷PCなら半日もあれば組めるのですが、本格水冷となるとそうはいきません。
終わりに
ほんとうに面倒で大変でしかも高額でした。
しかし、完成したPCをみるとやっぱり感動はあります。とてもかっこいいです。たとえ粗だらけであっても。
……でもやっぱり本格水冷は二度とやりたくありません。それくらい面倒です。
が、メンテナンスもそのうちやらなきゃいけないので、近いうちに本格水冷PCと向き合うことになるでしょう……
早速4KでMOD大量導入のスカイリムをプレイしましたが、快適に動作していました。やはりRTX4090は強いです。