マルセル北村です。
「3D V-Cache」を搭載したAMDのゲーミング最強CPU「Ryzen3Dシリーズ」の7000番代には、「7800X3D」、「7900X3D」、「7950X3D」の3種類がラインナップされています。
Ryzenは下3桁の数字が大きいほどグレードが高いものになります(1桁目は世代を表す)。
しかし、Ryzen3Dシリーズについては高グレードのものが単純に優れているというわけではなく、ちょっとクセがあります。
私はゲームがしたいだけなんだけど、どれを選べば良いんだろう……
今回は、その点について解説していきます。
なお、結論から言うとほとんどのゲーマーは「7800X3D」を購入するのがおすすめです。理由は後ほど。
Ryzen3Dシリーズとは
AMDが開発・販売している「3D V-Cache」を搭載した「ゲーミングに特化した」CPUです。
「3D V-Cache」は、今のところAMD独自の、つまりインテルではまだ製品化されていない技術です。
もちろんゲームにもよるのですが、「3D V-Cache」が上手く効くゲームに対しては抜群の性能を誇り、そうでないゲームについてもほぼ標準のRyzenと変わらないほどの性能を発揮します。
「3D V-Cache」が効くゲームに対しては性能が+αで上乗せされると考えるとわかりやすいと思います。
「Ryzen3Dシリーズ」はAM4時代の末期に彗星のごとく登場し、当時は「Ryzen 7 5800X3D」しか発売されませんでした。
しかし、7000番代では「7800X3D」、「7900X3D」、「7950X3D」の3種類がラインナップされており、高い需要が見込まれていることがうかがえます。
Ryzen3Dシリーズの比較
Ryzen3Dシリーズの比較を行います。といっても、当サイトはゲーマーの方に向けたサイトなので、できる限り簡単にわかりやすく違いをお伝えします。
以下の簡易比較表をご覧ください。
7800X3D | 7900X3D | 7950X3D | |
クロック | 4.2GHz(最大5.0GHz) | 4.4GHz(最大5.6GHz) | 4.2GHz(最大5.7GHz) |
コア数 | 8コア | 12コア | 16コア |
3D-Vcacheの搭載されたコア数 | 8コア | 6コア | 8コア |
全部で16コア搭載してる7950X3Dを買うのが最強なのかな?
普通であればそうなのですが、7950X3Dには一概に「Yes」と言えない事情があります。
ほとんどのゲーマーは7800X3Dを買えばいい
上記の表を見てもらうとわかるように、「7950X3D」と「7900X3D」は、ゲーミング性能の工場に大きく寄与している「3D-Vcache」を搭載しているコアと、搭載していないコアが混在しています。
そして「RYZEN3Dシリーズ」では、ゲームについては「3D-Vcache」を搭載したコアでほぼ全ての処理を行うようにソフトウェアで制御しています。
そのため、Ryzen3Dシリーズのゲーム性能に関わるのは「3D-Vcache」を搭載したコアのみとなります。
3D-Vcacheの搭載されたコア数は、「7800X3D」と「7950X3D」が共に8コアでトップです。この時点で、ゲーム向けなら「7900X3D」を購入する必要がないのがわかります。
また、先程述べたように「7950X3D」(と一応7900X3D)は「3D-Vcache」を搭載していないコアが混在しており、ゲームは「3D-Vcache」を持ったコアでほぼ全ての処理を行うようにソフトウェアで制御しています。
この事象に関連して注目すべき点は2つあります。
1つは、ソフトウェアで制御するに当たって設定が必要で、その設定をミスるとゲーミング性能が著しく落ちる上、ソフトウェア制御のためどうしても100%上手く動作しない可能性があること。
もう1つは、ゲームに限れば、16コア搭載している7950X3Dでも「3D-Vcache」を搭載している8コアのみで処理をすることになるので、実質的に7800X3Dと性能が変わらないということです。
そのため、ほとんどのゲーマーは7800X3Dを購入するのが最適解と考えられます。
厳密には7950X3Dの方がクロック数が高い分性能が高いと言えますが、ゲーム性能に反映させると微々たる差です。
7950X3Dのソフトウェア制御で上手く制御できないときのリスクを考えると……ゲーミング特化なら、物理的に「3D-Vcache」搭載のコアしかない7800X3Dの方がおすすめです。
なお、7900X3Dについては存在意義がよくわからないCPUといえます。
7950X3Dを買ったほうが良い人はどんな人?
では、逆に7950X3Dを買ったほうがいい人というのはどんな人でしょうか?
ゲーミングPCで行う重い作業がゲームのみであれば、7950X3Dを購入する必要はほぼありません。
インテルとの比較は?
インテルのCPUとAMDのCPUで迷っている方は、以下の記事をご覧ください。
Ryzen 7 7800X3D搭載のおすすめBTOゲーミングPC
ほとんどのゲーマーにおすすめできる、Ryzen7800X3D搭載のおすすめBTOゲーミングPCを紹介します。
なお、ゲーミングPCの選び方そのものが知りたい方は先に以下の記事をご覧ください。
マウスコンピューターのRTX4070 SUPER搭載ゲーミングPC1
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 1TB SSD (NVMe接続) |
電源 | 750W BRONZE認証 |
マウスコンピューターのWEB限定ブランド「NEXTGEAR」のゲーミングPCで、非常に見た目のいいゲーミングPCだと思います。
もちろんスペックも申し分なく、ゲーミング最強のCPUである「7800X3D」に「RTX4070 SUPER」、簡易水冷CPUクーラー標準搭載という鉄壁の布陣です。
ただし、メモリだけは32GBへの増量をおすすめします。
さらに、他のマウスコンピューター製品と同様に3年間の無償保証と電話サポートがついています。他メーカーだと1年間が通常であり、ゲーミングPCとしては異例です。
マウスコンピューターのRTX4070 SUPER搭載ゲーミングPC2
CPU | AMD Ryzen 7 7800X3D |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER |
メモリ | 32GB(16GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD (NVMe Gen4×4) |
電源 | 750W BRONZE認証 |
国内生産が大きなウリのマウスコンピュータのRTX4070 SUPER搭載ゲーミングPCです。
RTX4070SUPERは非常に優れたグラボで、WQHD解像度までならプレイできないゲームはほぼないと言えます。
さらに7800X3Dと簡易水冷CPUクーラーを標準搭載、SSD1TB標準搭載と3拍子揃っています。
3年間の無償保証と電話サポートがついています。他メーカーだと1年間が通常であり、ゲーミングPCとしては異例です。
ツクモのRTX4070 SUPER搭載ゲーミングPC
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
GPU | GeForce RTX 4070 SUPER GDDR6X |
メモリ | 32GB (DDR5-4800、16GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD (M.2/NVMe接続) |
電源 | 850W GOLD認証 |
パソコンショップの老舗、ツクモが販売するゲーミングPCです。
ミドル帯最高クラスのRTX4070SUPERに加え、ゲーミング最強のCPUであるRyzen7800X3Dを採用し、さらにメモリ32GB、SSD1TBを搭載しています。
CPUクーラーは空冷ですが、7800X3Dは発熱量が少ないので空冷でも行けます。が、不安であれば簡易水冷に変更すると良いでしょう。
さらに、従来のG-GEARと比べてPCケースが少しおしゃれになっています。
パソコン工房のRTX4070 SUPER搭載ゲーミングPC
iiyama PC LEVEL-M7A6-LCR78D-TT7X
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
GPU | GeForce RTX 4070 SUPER 12GB GDDR6X |
メモリ | 32GB (DDR5-4800 16GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD (M.2規格 / NVMe接続) |
電源 | 750W BRONZE認証 |
国内外から評価される「iiyama」ブランドを持つパソコン工房は、他社と比べて価格が安く、極めてコスパのいいゲーミングPCを提供しています。
ゲーミング最強のCPU「7800X3D」に加えて、ミドル帯最高クラスのグラボRTX4070SUPERを搭載し、WQHD解像度までならプレイできないゲームはほぼないと言えます。
メモリは32GB、ストレージはNVMeのSSD1TBが標準搭載です。
さらに240mmの簡易水冷CPUクーラーが標準です。実は、Ryzen7800X3Dは発熱量が少ないので240mmでも十分です。
同じ構成で、見た目がかっこよくなったRGBモデルもあります。
パソコン工房のRTX4090搭載ゲーミングPC
iiyama PC LEVEL-R7B6-LCR78D-XLX [RGB Build]
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4090 / 24GB (GDDR6X) |
メモリ | 32GB (DDR5-4800、16GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD (M.2規格 / NVMe接続) |
電源 | 1000W PLATINUM認証 |
国内外から評価される「iiyama」ブランドを持つパソコン工房は、他社と比べて価格が安く、極めてコスパのいいゲーミングPCを提供しています。
ゲーミング最強CPUの一角「Ryzen 7 7800X3D」を搭載し、同時にゲーミング最強GPU「RTX4090」を搭載する、まさに「ゲーミング最強」のゲーミングPCです。
メモリは32GB、ストレージはNVMeのSSD1TBが標準搭載です。
さらに240mmの簡易水冷CPUクーラーが標準です。実は、Ryzen7800X3Dは発熱量が少ないので240mmでも十分です。
ドスパラのRTX4090搭載ゲーミングPC
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4090 / 24GB (GDDR6X) |
メモリ | 16GB (DDR5-4800、8GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD |
電源 | 1000W GOLD認証 |
ドスパラが販売しているゲーミングPCです。ドスパラのPCケースは一目で「ガレリア」とわかるのが特徴的ですね。
RTX4090、7800X3Dを搭載した最強ゲーミングPCです。……が、何故かメモリが16GBしか搭載されていません。このモデルを選ぶのであればメモリを32GBにすることを強く強く推奨します。
正直、このクラスのゲーミングPCであればメモリ32GBは当然のように搭載されていてほしいものです。このような注意書きをする必要もなくなるので。
Ryzen 9 7950X3D搭載のおすすめBTOゲーミングPC
特殊なゲーマー向けの、Ryzen7950X3D搭載のおすすめBTOゲーミングPCを紹介します。
実は、7950X3Dと私がおすすめするグラボを組み合わせているゲーミングPCってあまり多くないです。なぜでしょう……
パソコン工房の7950X3D搭載ゲーミングPC
iiyama LEVEL-R7X7-LCR79Z-XL1X [Windows 11 Home]
CPU | Ryzen 9 7950X3D |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4090 / 24GB (GDDR6X) |
メモリ | 32GB (DDR5-4800、16GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD (M.2規格 / NVMe接続) |
電源 | 1000W PLATINUM認証 |
国内外から評価される「iiyama」ブランドを持つパソコン工房は、他社と比べて価格が安く、極めてコスパのいいゲーミングPCを提供しています。しかも保証もしっかりしています。
「Ryzen 9 7950X3D」を搭載し、同時にゲーミング最強GPU「RTX4090」を搭載する、まさにハイエンドなゲーミングPCです。
メモリ32GB、SSD1TB、そして240mmの簡易水冷CPUクーラーが標準搭載です。実は、Ryzen7950X3Dは発熱量が少ないので240mmで十分です。
総じてバランスの取れた構成で、パソコン工房らしく必要でない部分を削ってコストカットしていることがうかがえて好印象です。
同じ構成でRGBライティングにこだわったPCもあります。
サイコムの7950X3D搭載ゲーミングPC
サイコムは「世界で唯一、水冷クーラーの組み付けから検証まで社内で行なっている」ことを謳っており、自社で独自にグラボを簡易水冷化しています。
それが使われているのが今回紹介するデュアル水冷(CPUとGPUの簡易水冷)モデルであり、冷却能力では他の追随を許しません。
7950X3DとRTX4090をカスタマイズで選択可能です。高い冷却能力と相まってまさに最強のゲーミングPCと呼べるものになるのではないでしょうか。
……サイコムのPCはカスタマイズできる項目が非常に多く、カスタマイズを前提にしているところがあります。
標準仕様はそんなに性能が高くないものが選択されているので、ある程度パーツの良し悪しが自分で判断できる中級者向け以上のメーカーとなります。
また、独自の特色を持つ分価格は圧倒的に高いので、そこは覚悟する必要があります。