マルセル北村です。
今回は、初心者の方がゲーミングPCを買おうと思ったときに、勘違いしがちなポイントを紹介します。
この項目に記載されていることの多くは、「昔は正しかったこと」です。
知識のアップデートをしていない人が言っていることや、それを真に受けた人がさらに広めた結果、未だに伝統のように伝わっている事柄って結構あります。
知識のアップデートは現代に生きる人間に必要不可欠なものです。
パソコンに限らず、過去の知識にしがみつかず、可能な限り日々知識をアップデートしていきましょう。
とはいえ、知識のアップデートを続けるというのは難しいことでもあります。特に、自分が興味を失ってしまった分野については。
そこで、自分が昔詳しかったけど今はそうでもない分野のことを他人に話すときは、「昔はこうだったけど、今はわからない」と伝える必要があると思います。
今の常識なんて、数年経てば非常識に変わってしまうかもしれないのですから。
誤解1:CPUを重視する
デルが公表した「ゲーミングに関する意識調査結果」を見ると、ゲーミングPCを購入する際にCPUを重視する人が一番多くなっています。
ありえません。この記事をみているあなたはグラボ(GPU)を重視してください。
普通のゲームの場合グラボの性能が先に限界に達してしまうので、CPUの性能を過剰に盛っても意味がありません。
もちろんCPUもグラボもどっちの性能も高いほうがいいに決まっていますが、どちらかを妥協しなければならなくなったときは迷わずCPUを妥協してください。
周りでゲーミングPCの購入に迷っている方がいたらグラボを重視するように伝えてあげてください(当サイトのURLとともに)。
調査対象の方の属性が年代以外記載されていないので、全然ゲーミングPCに興味ない人にもアンケート取った可能性もありますが……
誤解2:電源には金をかける
確かに電源はPCパーツの中でも重要なパーツで、昔はヤバい電源(粗悪な電源)がまともな電源に混じって何食わぬ顔で売られていたため、「安物を買うな。電源には金をかけろ」と言われていました。
しかし今はヤバい電源は駆逐されており、PCパーツショップなどではまともな電源しか売っていません。
自ら望んでわけのわからない電源を購入しない限りは、ゲーミングPCにおいて電源が問題になることはないでしょう。
80PLUS認証について
電源のグレードは、「80PLUS認証」(BRONZE、GOLD、PLATINUMなどのアレ)でよく区別されます。
「80PLUS認証」は電源の変換効率を認定するもので、絶対的な「質」を評価したものではありません。しかし、80PLUS認証を取得できていないような電源は買わないほうがいいです。
とはいえ、今どき80PLUS認証の「BRONZE」を取れないような電源が売っているのを見たことがありません。BTOゲーミングPCであってもです。
なので、現在はゲーミングPCの電源に対して神経質になる必要はないと言えます。
「80PLUS認証」のBRONZE以上のグレードになっているかどうかだけ確認しましょう。自作の場合、有名メーカーかどうかも確認しましょう(謎中華を避けるため)。
一応、私が愛用している電源のメーカーを紹介しておきます。
「SUPER FLOWER」という台湾の会社で、有名メーカーのOEMも行っていると言われています。
知名度は高くないですが、品質は確かで価格も安いので、現状SUPER FLOWERの電源を選んでおけば間違いないと思います。
誤解3:HDDはあった方がいい
現在、ゲーミングPCのストレージのメインストリームはSSDです。HDDではありません。
これは、ゲームプレイの快適度に大きく寄与する「読み込み速度」に圧倒的な違いがあるためです。
ゲームによっては分単位の差が出ることも多いですし、最近はSSDを公式に「必須」としているゲームも増えてきました。
昔はSSDの価格が高く、また安価なものは信頼度に欠けたため、ゲーミングPCに搭載するすべてのストレージをSSDに置き換えることは困難でした。
そこで、仕方なくHDDを併用していたわけです。
しかし今はSSDの価格が大きく下がっているため、特別な理由がなければゲーミングPCのストレージはSSDのみでいいです。
必要ないのにHDDを搭載してしまうと、HDDは読み込む際に音を発するため(カリカリカリというあの音)、むしろマイナスとなってしまうと言えるでしょう。
大量の動画ファイルを保存したいなどの明確な用途がなければHDDは必要ありません。
ゲームのインストール先はSSDがマストと言っていいです。読み込み速度が圧倒的に違います。
誤解4:BTOパソコンショップによって性能が変わる
「◯◯のゲーミングPCはやめとけ」といった意見を見たことはないでしょうか?
当サイトでも色々なBTOメーカーを紹介していますが、原則BTOメーカーによってゲーミングPCの性能に大きな違いは出ません。
例えば「パソコン工房は性能が良い」とか、「ドスパラは性能が悪い」といったことはないということです。
BTOメーカーは「ゲーミングPC組み立て屋さん」です。パーツメーカーからPCパーツを仕入れて、それを組み立てて販売しています。
そして、ゲーミングPCの性能を左右するのはPCパーツです。PCパーツの構成が同じであれば、BTOメーカーによって性能に大きな差が出ないのは自明です。
厳密に言えば、BTOショップによってPCパーツの仕入先が変わるので微差は出ますが、ゲーマーが気にするような差ではありません。
故障とかはどうなの……?
厳密に言えば、故障を起こすのは「PC」ではなく「PCパーツの一つ」です。そのため、故障や初期不良があったとしても基本的にBTOショップのせいではありません。
……電子機器には初期不良が絶対にあります(私も当たったことがあります)。そのため当然、売れているショップほど初期不良の「発生数」は多くなります。
普通に使えている人は別に「普通に使えています」とはあまり発信しないので、売れているショップほど初期不良発生の声は多くなると考えられます。
なので、初期不良発生の声の多さで品質について推し量ることはできません。
強いて言えば初期不良発生後の対応が問題ですが、当サイトで紹介しているような大手BTOパソコンショップが保証期間内に発生した初期不良に対応しないことはないでしょう。
なお、基本的にBTOゲーミングPCの無償保証期間は1年ですが、マウスコンピューターは標準で3年の保証がついている非常に珍しいショップです。
私も、パソコン工房で買ったBTOゲーミングPCのCPUに初期不良があったことがありますが、きちんと対応してもらいました。
きちんと対応してくれる、保証の付いた信頼できるショップを選ぶことが重要です。
誤解5:自作PCは安くパソコンが入手できる
安くゲーミングPCを手に入れるには、自作したほうが良いのかな……?
自作PCが安かったのはそれこそ大昔の話です。
今なら、価格を重視して同性能のパーツを選んでもよくてトントン、むしろBTOパソコンのほうが安く購入できることすらあるでしょう。
もちろん、中古パーツを駆使するなどすれば安くすることは可能です。しかし、であれば比較は中古のゲーミングPCと行うべきでしょう。
BTOパソコンショップは同じパーツを大量に購入するので安く仕入れることが出来、その結果価格が落とせているのではないかと思います。
BTOの場合は基本的にグラボだけ真剣に検討すれば良いですが、自作PCの場合、全てのパーツについて検討しなければなりません。
当然、失われる時間も大きく変わります。
1時間悩むことで、自分の寿命を1時間削っていることを自覚する必要があります。
また、その1時間働いていればどれくらい稼げるかも考えるべきです。
つまり、「時は金なり」ということですね。
自作PCのメリットは自分が好きなメーカーのパーツでPCを組めることです。しかし、それはPCマニア向けの性能差、あるいは自己満足しか産みません。
ゲーマーが性能だけを求めるのであれば、BTOゲーミングPCでなんの問題もありません。少なくとも、安さを理由に自作する必要はないでしょう。
そうはいいつつ、私自身は自作派なのですが……
自作のメリットは基本的にロマンとしか言いようがありませんが、逆に言えばロマンを求めるなら自作するしかありません。
自作PC自体は全く難しいものではないので、やってみたい方はやってみればいいと思います。結局は趣味です。
ゲーミングPCは自分が長く使う道具なので、自分が気に入って納得できるものを購入、あるいは自作しましょう。